名寄コロニー
名寄市朝日、名寄川右岸のドイツトウヒを中心とした針葉樹林内に位置する。コロニーがあるのは南西に面した緩やかな斜面で、その南はやや急な広葉樹の斜面を隔てて名寄川の河川敷に至る。名寄川の対岸には水田や草地の中に民家がまばらに点在している。コロニーの北側は平坦地で、カラマツやトドマツの植林が続いている。
2002年10月14日から16日にかけて行った調査では、ドイツトウヒ164本、トドマツ18本、シラカンバ3本、不明種1本の3種186本に、合計243巣を確認した。コロニーの内部はドイツトウヒに少数のトドマツが散在する植生であるが、ハリギリ、ミズナラ、エゾイタヤなどの広葉樹もごく少数混生していた。林床にはササやオククルマムグラなどがわずかに見られるものの、ほとんどの部分は落枝、落葉が堆積し植生がなかった。営巣面積は約2,600m2であった。
名寄野鳥の会の水間秀文氏によると、このコロニーで初めて繁殖が確認されたのは1993年で、その時の巣数は11巣であったという(水間 1995)。なお、この林は近年売りに出されたが、営巣木の伐採を危惧する名寄市の住民により買い取られている。
参考文献
水間秀文 1995 1994年アオサギ調査報告 あかげら 第13号 20 名寄野鳥の会
【追記(2012年7月6日)】このコロニーは2008年春のアオサギ飛来直後からオジロワシによる度重なる襲撃を受け(内海 私信)、2011年5月を最後に放棄された(水間 私信)。その後、当コロニーから移ったと思われるアオサギが、名寄市街にある名寄公園内と上名寄の2ヶ所に分散して営巣している。水間氏によると、上名寄にできたコロニーもオジロワシに襲われているという。