コムケ湖コロニー
紋別市小向、コムケ湖岸から約100m離れた林内にあったがすでに放棄されている。
林はドイツトウヒとカラマツとシラカンバの林分により構成されており、いずれの林も営巣場所として利用されていた。林の東側は湿地を隔ててコムケ湖に面しており、西側には畑が広がっている。
このコロニーは放棄から2年後の1993年11月25日に調査を行い、ドイツトウヒ67本、カラマツ49本、シラカンバ32本、ハリギリ5本、カシワ3本の5種156本に、計234巣を確認している。また、1990年5月4日に松田あおい氏が行った調査では、ドイツトウヒ119本とカラマツ102本に、使用巣311、古巣29を確認している。当時の営巣面積は約10,000m2である。
この林の所有者によれば、ドイツトウヒ林には1985年頃から営巣し始め、カラマツ林には1990年に初めて営巣したという。しかし、翌年の1991年にはこのコロニーは完全に放棄されている。もんべつかいはつくらぶの大館和広氏によると、1985年に約25巣、1986年と1987年に約50巣を確認したということである。また、放棄された年にはコロニーの北西約500mの所に約70巣がつくられたが、この場所も5月中に放棄され繁殖は成功しなかったという。放棄の原因については、1989年からコロニーのすぐ近くで営巣を始めたオジロワシの影響があったのではないかと推測している。なお、同氏は1998年の8月か9月頃に、コムケ湖で採餌中のアオサギをオジロワシが捕らえたのを目撃している。
なお、上記データでは1991年にコロニーが放棄されているにもかかわらず、1993年の調査で1990年の調査時には無かった営巣木が見つかっている。これについては放棄前後の状況について十分な情報がないので実際に何があったのかは分からないが、ひとつの可能性としては、1990年5月の調査終了後にそれまで針葉樹にいたアオサギの一部が何らかの理由でシラカンバ林へ移って営巣をやり直したことが考えられる。