瀬戸瀬コロニー
遠軽町瀬戸瀬の平坦な針葉樹林にある。この林は鉄道防風林で、林の北側をJR石北本線が走っている。防風林は線路に近い方からドイツトウヒ林、広葉樹林、トドマツ林と帯状に配置されていて、このうち最も南のトドマツ林にコロニーがある。林の西側は道路を隔てて約20m先に針葉樹(トドマツとカラマツ)の防風林が続く。林の南側は農作業用の砂利道を隔てて畑が広がる。なお、コロニーのあるトドマツ林は大部分がトドマツであるが、東の方や林縁部にはカラマツも多く、またハリギリなどの広葉樹もわずかに交じっている。
2002年11月15日の調査では、トドマツ47本に61巣を確認した。中低木にはトドマツ、ミズナラ、ヤチダモなどが多く見られた。林床の草本は少なく、オオウバユリが散在する程度であった。営巣面積は約1,000m2であった。
遠軽町瀬戸瀬小学校の小竹氏によると、このコロニーができたのは1998年で、最初は10数羽から20羽程度だったという。なおそれ以前は、現在の場所から約1.3km北東の瀬戸瀬ダム北岸の針広混交林にコロニーがあり、現在のコロニーはここから移動したアオサギによってつくられたものと考えられている。地元の人によると、旧コロニーができたのは1982年頃だという。このコロニーについては、1990年5月20日に松田あおい氏が700m離れた対岸から観察し、ミズナラやハリギリなどに70巣以上を確認している。また、小竹氏によれば、旧コロニーで生息数が増加しはじめたのは1994年頃からで、その翌年に一気に増え150巣くらいの規模になったという。また、1997年にはそれまでで最も個体数が多くなったが、翌1998年には半減し、1999年には完全に放棄されたという。したがって、1998年は旧コロニーと現コロニーが併存したことになる。また、北海道野鳥愛護会の富川徹氏によれば、1996年に一時的にダム湖南岸のカラマツ林でも営巣が見られたという。旧コロニーが放棄された原因は分かっていないが、富川氏によればコロニー周辺に生息するオジロワシがダム湖でアオサギを襲うのを目撃したということであり、アオサギの営巣にオジロワシが悪影響を及ぼしていた可能性もある。
旧コロニーで営巣が行われていた当時、コロニーの対岸にアオサギを観察することのできる公園をつくる話が町で持ち上がったが、ほどなくコロニーが消滅したため計画は立ち消えとなっている。なお、旧コロニーは鳥獣保護区に指定された国有林内にあった。また、コロニーの近くでハウス栽培をしている農家の人によると、アオサギがハウスにとまり飛び立つときにビニールを破るので困っているという。