幌加内コロニー直近における河川工事に対し抗議文提出
さる6月2日、幌加内町雨煙別のコロニーが放棄されているのが確認され、6月14日に調査を行ったところ、コロニー直近で行われている河川工事が影響したとの判断に至りました。このため、同工事の施行主である北海道開発局札幌開発建設部滝川河川事務所に対し、6月18日付け郵送にて質問事項を付した抗議文を送りました。以下が全文です。PDFはこちらからダウンロードできます。
幌加内町雨煙別における河岸保護工事に対する抗議および質問
時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
当会は人とアオサギが共生できる社会づくりを目標に、北海道全域をフィールドとして調査研究活動をしている市民団体です。その調査結果をもとに、行政に対してもこれまで種々の提言を行ってきました。2005年には道内全ての開発建設部宛てに、各コロニーの場所を周知していただけるよう、全道のアオサギの生息状況に関する報告書を送付いたしております。
さてこのたび、幌加内町雨煙別、雨竜川右岸河畔林においてアオサギコロニーが放棄されているのが確認されました。さっそく当会で現地の状況を確認したところ、貴所発注の河岸保護工事がコロニーの放棄に大きく影響したと考えざるを得ないとの結論に至りました。ついては、ここに強く抗議の意を表するとともに、工事内容の説明と今回の事態についての貴所の見解を求める次第です。
以下に、今回の抗議文提出に至った経緯と当会の見解を記します。
6月13日、幌加内在住の方より、当会HPの掲示板を通じ、6月2日の時点で同コロニーが放棄されているとの連絡がありました。この方は、5月初めに同コロニーでの営巣を確認しており、また、5月下旬頃には、約10羽のアオサギが同コロニーから南南東約5kmの同町雨煙内で巣作りを始めたのを目撃(ただし、数日で中止)しています。なお、当地のアオサギについては、2006年以降、同コロニーを継続して利用していること(上記報告書は2005年に刊行されたため、当コロニーは未記載)、また、巣作りを開始する時期は4月上旬であることが分かっています。これらの情報を考慮すると、同コロニーで例年通り営巣していたアオサギが、5月中のいずれかの時期(上記内容からみて下旬である可能性が高い)に何らかの原因でコロニーを放棄せざるを得なくなり、その一部が雨煙内に移動し、新たに営巣を試みたと考えるのが妥当です。
アオサギによるコロニーの放棄は捕食者が原因で起こる場合もありますが、いったんヒナが生まれると、たとえ捕食者に襲撃されても全面的な放棄に至ることはほとんどありません。今回の放棄はヒナのいる時期に起きた可能性が高く、放棄の原因として捕食者よりさらに破壊的な事象があったと疑って然るべきと考えます。
以上のことから、当会では翌14日、緊急に現地調査を行ってきたところです。この結果、当該地で河岸保護工事が進行中(工事標識にて判明)であること、また、コロニー(巣数:13、面積:約70m2)から西に約40mのところまで樹林が伐採されていることを確認しました。仮にこの伐採やそれに付随する作業がアオサギが営巣している最中に行われたとすれば、アオサギの習性や過去の事例等を最大限に過小評価したとしても、作業がコロニー放棄の直接の原因になったことに疑いを差しはさむ余地はありません。
今回の作業がアオサギ営巣の事実を把握したうえで為されたとは思いませんが、故意でなければ許されるものではありません。工期は今年3月2日からということですから、葉が繁る前に調査をすれば、外部からでもコロニーの存在は容易に知りえたはずです。仮にアオサギの飛来前にコロニーを見つけることができれば、工期をずらしたり、それがどうしても不可能な場合は代替場所を確保し人為的にコロニーを移動させるなど、適切な方法によって今回のような事態は避けられたものと考えます。いずれにしても、あれほど目立つアオサギのコロニーに気づかないのでは、アオサギのみならず自然環境そのものに対し何の配慮も行っていないとみなさざるをえません。
同コロニーについては、現在すでに放棄された状態であること、また、時期的にこれから営巣を再開する可能性がほとんど無いこと、さらにいったん放棄したコロニーを翌年再利用した事例が見られないことから、今後、アオサギによる利用は無いものと考えています。したがって、当該地における今後の工事に関して当会からとくに要望することはありません。ただ、二度と同様の事態を起こすことのないよう強く要望するものです。
なお、今回起きたことについては、再発防止の観点からもしっかりとした検証が必要で、そこで得られた知見を今後に活かすためにもできる限り正確な記録を残しておかなければなりません。ついては、以下に質問事項を用意しましたので、ご回答いただけますようお願いします。
なお、1、2、3について情報の開示請求が必要でしたら、その旨ご連絡ください。
以上、よろしくお願いいたします。