平岡コロニー
札幌市清田区平岡の住宅地の一角にある。コロニーはショッピングセンター(ジャスコ)敷地内のカラマツ林にあり、林の北側はバス道路をはさんで住宅地に接している。林と道路はフェンスによって仕切られ、林に人が侵入できないようになっている。コロニーの東側は広葉樹やカラマツの林が約100m続き、その先はショッピングセンターの駐車場で開けている。南側には約300mを隔てて3階建てのショッピングセンターがある。コロニーの東約100mには幅約20m、長さ約160mの細長い池があり、この池の南端は湿地になっている。また、コロニーの中程には幅4mほどの作業道が南北に通っている。コロニーおよびその周辺は平坦地である。
2002年12月4日と5日に行った調査では、カラマツ243本とミズナラ1本に、合計266巣を確認した。コロニー内は低木が多く、エゾニワトコ、ハリギリ、オニグルミ、ミズキなどが見られた。林床はササが優占するが密度は低く、他にハイイヌガヤ、ハイイヌツゲ、フッキソウなどが見られた。営巣面積は約8,600m2であった。
平岡で自然を対象に活動する「平岡どんぐりの森」の佐藤佑一氏によると、このコロニーでアオサギが営巣を始めたのは1997年4月ということである。この年は東に約7kmのところにあった野幌コロニーが放棄された年でもあり、野幌のアオサギの一部が平岡に移動した可能性が高い。
現在、ジャスコの敷地となっている場所は、アオサギが営巣しはじめた当初は北海道拓殖銀行が所有していた。当時この敷地内には建造物はわずかで、現在ショッピングセンターや駐車場となっているところは野球のグラウンドやテニスコートなどであった。その後、拓銀の破綻にともない、1998年にジャスコが土地を取得しショッピングセンターを建設することとなったが、計画の段階で「たくぎんの森を考える会」がアオサギのコロニーを含め周囲の樹林の存続をジャスコに要望した。ジャスコはコロニーのある林を含む池の周囲の樹林地はひとまず開発計画外とし、繁殖期においてはアオサギの営巣に影響の少ない方法で工事を行うなどアオサギに配慮して建設を進めた。この結果、アオサギはコロニーを放棄することなく現在に至っている。なお、現在でも「平岡どんぐりの森」の方々により繁殖期にコロニーの観察会が催されるなど、地元の人々によるアオサギへの関心は高い。
佐藤氏によると、ここのアオサギは例年3月20日前後に飛来するという。なお、このコロニーは平坦地にあることに加えて林縁には営巣していないため、林の近くからコロニーを見ることは不可能である。そのため、ショッピングセンターへの買い物客がこのコロニーを意識することはほとんどないと思われる。