穂別コロニー
穂別町仁和のカラマツの植林地にある。この林の北西側には巾約50mの針広混交林が続き、その先は砂利工場である。それ以外の方角は畑などで開けている。また、林のすぐ北側には道路が通っているが交通量はほとんどない。
2001年12月14日に行った調査では、カラマツ49本に計73巣を確認した。林床にはササ、フッキソウ、シダ類などが見られた。営巣面積は約1,100m2であった。営巣木はカラマツ林の中央部に集中しており、その一帯のカラマツにはほぼ全て巣がかけられていた。なお、ここのカラマツは長年営巣に利用されているにもかかわらず枯死木はほとんど見られなかった。
1992年11月26日の調査では、カラマツ67本、シラカンバ2本に、計152巣を確認している。また、1993年11月8日の調査では、119本の営巣木に180巣を確認している。さらに、1990年3月27日に松田あおい氏が行った調査では、カラマツ60本に使用巣74、古巣25を確認している。1990年当時の営巣面積は約2,500m2である。
野生生物情報センター資料によると、このコロニーができたのは1972年頃だという。また、コロニーの土地の所有者である佐久間氏によると、初めはひとつがいで営巣していたという。1987年には野生生物情報センターが7月24日から26日にかけて調査を行い、カラマツ76本に計76巣を確認している。同じく1988年7月26日から28日にかけての調査では、78本の営巣木(カラマツのほかウダイカンバを含む)に計78巣を確認している。なお、この年には、現在のコロニーの南東約300mと南西約250 mにふたつの新たなコロニーを発見している。これらのコロニーはいずれもカラマツ林にあり、それぞれの林に4巣と8巣を確認したという。これらふたつのコロニーは現在は放棄されているが、いつ頃まで存続したのかは不明である。地元の人によると、新しくできたコロニーは林の所有者が木を切ったため消滅したということであるが、それがどちらのコロニーを指すのかは定かでない。佐久間氏によると、ここのアオサギは例年3月10日過ぎに飛来するという。また、地元の人によれば3月上旬に飛来する年もあるという。
なお、当コロニーのある林は、道営農地開発事業の一環としてかつて伐採が計画されたことがあり、アオサギコロニーの取り扱いを巡り1986年に穂別町と受益者の間で協議が行われている。その結果、当初計画されていた伐採量を半減することで営巣木を残すことが取り決められ、この合意に基づき1987年2月に林の一部が伐採されている。また、穂別町ではコロニーのあるカラマツ林を町が買い取った上、土地所有者に補助金を給付するなどして積極的に営巣地の保護にあたっている。