幌向ダムコロニー
岩見沢市毛陽町、幌向ダムにコロニーがある。営巣しているのはブイの上と水没した木の樹上である。ブイは取水口への倒木の流れ込みを防ぐフェンスを浮かせているもので、全体で約110個のブイが六角形に連結されている。ブイは直径約40cm、長さ約70cmの樽型で、約1.3mの間隔を置いて繋がれている。なお、角の6ヶ所には、ひと回り大きなブイ4個が四角く連結されている。水面から巣までの高さは約30cmである。一方、水没した木はこのブイの北東約400mから800mの間に点在している。ダム湖の周囲には針広混交林の森が広がる。
2003年5月30日に行った調査では、ブイ上に使用巣30と古巣1を、また水没した木に使用巣5と古巣1をそれぞれ確認した。なお、このダム湖の水位は25m程度変動するということで、同年5月13日に樹上の巣を観察したところ、ほとんど水面に浮かんでいるように見える巣もあった。また、2004年1月31日に、繁殖期に水没していた木の調査を行ったところ、ヤナギ類3本、トドマツ3本、不明1本に、計8巣を確認した。したがって、2003年の繁殖期にはブイ上の巣も含め少なくとも39巣があったことになる。営巣面積は、ブイで囲まれた部分が約2,300m2、水没した木で営巣している範囲が約3,700m2であった。
幌向ダム管理事務所の杉本力松氏によると、このコロニーを最初に確認したのは1989年で、現在営巣しているブイから東約100mにある山の斜面(針広混交林)に5、6巣を見かけたという。また、山の斜面では1997年に20数巣を数え、その頃の営巣数が最も多かったという。ブイ上にはじめて営巣したのは1998年で、この年は7巣を確認したということである。
なお、1999年6月3日の観察では、ブイ上に6巣(全ての巣で営巣)と山の斜面の広葉樹に5巣(うち4巣で営巣)を確認している。また、2002年5月3日にはブイ上に27巣(全ての巣で営巣)を確認している。ただし、杉本氏によれば、少し前には34巣あったということで、ブイ上の巣は、落ちては再び作り直すということを頻繁に繰り返しているようである。なおこの年、山の斜面には約10巣を確認したが、いずれも利用されていなかった。また、同年7月23日にダム湖の奥を観察したところ、水没した木に3巣(うち2巣で営巣)を確認している。
山の斜面からブイに移動したことについては、近くで伐採があったことや山菜取りが入ることなどが指摘されているが真相は分からない。当地ではアライグマが目撃されていることからアライグマの捕食を回避するため水上に移動したとも考えられるが、遠幌コロニーのようにヒグマがコロニーを襲った例もあり、当地域でもヒグマが原因である可能性は十分にある。なお、杉本氏によると、このコロニーにアオサギが飛来するのは例年3月14、5日頃だという。