北海道におけるアオサギの生息状況に関する報告

Status Report of Grey Herons in Hokkaido

桂沢湖コロニー

コロニーの全景(建物の裏の斜面)

三笠市桂沢、桂沢湖北岸の山の斜面(斜度約30度)にある。コロニーのある部分はカラマツと広葉樹が混生する林だが、樹高はカラマツのほうが高い。コロニーの大部分は沢に挟まれた緩やかな尾根上にある。コロニーの南は約20mで急傾斜ののり面になっており、これを下ると道道116号に出る。コロニーの北と東はコロニー内とほぼ同じ植生であるが、西側は沢に沿って広葉樹林となる。また、この沢の対岸には高さ10mほどの工事用の塔が建てられている。

2003年11月8日に調査したところ、カラマツ50本、ハルニレ2本、シラカンバ2本、不明1本の3種55本に、合計57巣を確認した。コロニー内にはこれらの樹種以外に、ドロノキ、ミズナラ、キハダなどの高木も見られた。中低木にはハリギリ、ヤマモミジ、ホオノキなどがあった。林床は背丈程度のクマイザサに一面覆われていたが、ハンゴンソウなども見られた。営巣面積は約6,500m2であった。なお、2002年12月3日と6日に調査の下見を行ったが、コロニーの範囲や規模は2003年と比べ大幅な違いはなかった。

旧コロニーのあった山の斜面

このコロニーは2002年に初めて確認されたもので、もともと湖の対岸にあったコロニーが移動してきたものと思われる。対岸のコロニーは、湖面から20m~40m程の高さの斜面(斜度約30度)にあったが現在は放棄されている。対岸の植生は針広混交林である。三笠市役所によれば、対岸の旧コロニーは1988年か1989年頃に形成されたもので、初めは2、3巣であったという。このコロニーについては1993年12月24日に調査を行っており、16本の営巣木に44巣を確認している。当時の営巣面積は約900m2である。湖岸にある桂沢観光ホテルの従業員によると、対岸のコロニーでアオサギを最も多く見かけたのは1999年から2000年にかけての頃で、それ以降はかなり減ったという。2002年7月23日に現地を観察したところ、旧コロニーでの営巣は確認できず、代わりに現在のコロニーで営巣を確認した。

なお、三笠市役所によると、桂沢ダムでは2005年か2006年頃に水位の嵩上げのための堤防工事とそれに伴う道道の付け替え工事を予定しており、工事終了後は道道がコロニーの直下をトンネルで通ることになるという。

コロニーの位置(大きな地図で見る
緑:現コロニー 灰色:旧コロニー
コロニーの周辺環境
コロニーの内部