三栄コロニー
朝日町三栄の貯水池のほとり、樹高6m程度のヤナギ林内にある。貯水池の北と南は山に囲まれている。貯水池のダムは東側にあり、ヤナギ林は貯水池の西端に広がる。ヤナギ林は西側で次第に樹高が高くなり、やがてヤチダモなどの広葉樹に移行する。ヤナギ林の北側はヨシ原で南は巾約2mの小川を挟んで広葉樹の斜面が続く。なお、この貯水池は農業用であり季節的に水位が変動するため、ヤナギ林は春から夏にかけ地上2m程度まで水没する。
2002年11月18日の調査では、タチヤナギ24本に1巣ずつ、計24巣が確認された。コロニーがある部分にはタチヤナギ以外の樹種はない。営巣面積は約5,000m2であった。営巣密度は低いが、これはヤナギ自体がまばらにしか生えていないためである。
コロニー近くの森牧場の森夫妻によると、このコロニーは1998年ないし1999年に形成され、個体数は年々増える傾向にあるという。それ以前は貯水池北側の斜面(針広混交林)に営巣していたのが確認されている。斜面のコロニーは1997年頃に営巣を始めたそうである。なお、この時期は朝日町中央にあったカラマツ林のコロニーが消失した時期と一致しており、朝日町中央から三栄へ分散してきた可能性もある。また、森夫妻の話によれば、この貯水池のある谷では2000年7月初めに大雨で鉄砲水が出ており、貯水池の水位が急激に上昇したということである。この結果、ヤナギの木の低い部分につくられていた巣は致命的な被害を被り、これ以来、巣は高い位置につくられるようになったという。この辺りでは牧場にヒグマが出没することもあるそうで、水没した木の上で営巣するという特異な繁殖形態はヒグマを避けるための対応であるとも考えられる。