雄武コロニー
雄武町上沢木の牧場裏のカラマツ林にある。林は北から北東に面した山の斜面(斜度約15度)にあり、幅約40mの浅い沢形により二分割されている。コロニーの北側は幅約15mの広葉樹林を隔てて牧場である。南側はシラカンバやトドマツなどの林が斜面上部へと続いている。コロニーの東側は崖となり林が途切れるが、北西側は斜面沿いにカラマツ林が続く。
2002年11月13日に行った調査では、カラマツ125本とシラカンバ2本に、合計136巣を確認した。東側のカラマツ林では営巣木がほとんど林縁部まで達しているのに対し、西側はカラマツ林自体が広く、利用されていないスペースも多かった。東の林の林床はササが優占しているが、部分的にエゾニワトコなどの低木や、オオイタドリ、エゾイラクサなどの草本が見られた。一方、西の林には部分的にササやミゾソバなどが見られるものの、斜面の途中まで牛が放牧されているため、林床のほとんどは裸地でぬかるんでいた。営巣面積は約4,100m2であった。
また、1993年11月23日の調査では、104本の営巣木に合計117巣を確認している。当時の営巣面積は約3,000m2である。
コロニーに隣接する飛騨野牧場の飛騨野氏によると、このコロニーでの営巣は1991年が最初で、この年は3月中に飛来があり約50羽を確認したということである。なお、例年は3月20日頃に飛来するという。また、もんべつかいはつくらぶの大館和広氏によると、1991年4月18日に38巣、1992年5月22日に約30巣、1993年4月11日に83巣を確認している。飛騨野氏によると、最初のうちは東側のカラマツ林で営巣していたが、近年になって西側のカラマツ林へも移動してきたという。なお、このコロニーの近くにはオジロワシが営巣しておりコロニーを襲うことがあるという。
このカラマツ林は飛騨野氏が所有しており、木の生長が止まっているので伐採したいそうであるが、アオサギへの配慮および諸事情により現在は見合わせているという。また、以前は新聞報道等にも応じていたが、必要以上にコロニーの保護に関心を持たれると林の所有者としては迷惑なので、現在はメディア関係の取材は断っているそうである。