3.(4) アンケート調査の結果
アンケートの設問ごとの結果を図6に、質問内容および都道府県別の回答一覧を付表3に示す。以下に結果を要約する。
【設問1】 捕獲許可権限の市町村への委譲状況
すべての市町村に権限委譲しているところが22県、いずれの市町村にも権限委譲していないところが23都道府県であった。山形県と三重県は、鳥獣被害防止計画を策定した市町村にのみ権限を委譲していた。
【設問2】 生息状況調査の実施状況
アオサギの生息状況を調査していたのは福井県のみであった(注1)。
【設問3】 保護管理のための科学的、具体的な施策
無回答の1県を除きすべて施策なしとの回答であった。
【設問4】 防除策に対する評価のしくみ、および評価基準
評価のしくみや評価基準があると回答したのは7府県で、具体的なしくみとしてチェックシート(茨城県)や調査書(福井県)での点検等を挙げていた。一方、35都道府県は評価のしくみや評価基準をもっていなかった。
【設問5】 駆除申請時の被害額の提示
17府県が申請者に被害額の提示を求めていた。このうち8府県は申請者本人が被害額を査定しており、9県は行政担当者が査定を行っていた。一方、21都道府県は被害額の提示を求めていなかった。
【設問6】 駆除の効果を評価するしくみ
評価のしくみがあると回答したのは長崎県のみであった。同県では、被害場所へのアオサギの飛来数と被害額について駆除の前後で比較調査を実施しているとのことであった。
【設問7】 共生への理念およびビジョン
5道県が人とアオサギの共生のための理念をもっているとの回答であった。しかし、いずれの回答も一般的な鳥獣管理の指針を示したものにすぎず、ヒトとアオサギとの共生に関する具体性のある意見はなかった。これ以外の42都府県は、無回答の1県を除きいずれも理念なしとの回答であった。
(注1)福井県はアンケートでは実施なしとの回答であったが、実際には県の機関である福井県自然保護センターにより詳細な生息状況調査(現地調査は日本野鳥の会福井県支部に委託)が行われていた。このため、同県については実施ありの回答に変更した。また、アンケートでは愛知県も調査を実施しているとの回答であったが、同県の調査はすべての鳥類を対象にした定点観察であり、アオサギの生息状況の解明を目的としたものではないため、集計では実施なしの回答に変更した。なお、過去には、長野県(長野県環境保全研究所)が、2007年から2009年にかけて、全県を対象にアオサギの生息状況調査を行っている(2-(2)の注1参照)。
もくじ
- ・ 図表
-
- 表1. 市町村別駆除実績の概要
- 表2. 防止計画の概要
- 表3. 駆除時期に関する規定
- 表4. 報告時駆除数の差異
- 図1. 駆除数の経年変化
- 図2. 都道府県別駆除数
- 図3. 駆除計画および捕獲権限委譲状況
- 図4. 被害内容別駆除数
- 図5. 被害内容別都道府県別駆除数
- 図6. アンケート結果
- 付表1. 都道府県別年度別駆除数
- 付表2. 都道府県別被害対象別駆除数
- 付表3. アンケートの質問と回答
- 付表4. 駆除に関する規定
- 付表5. 許可基準表の記載内容
- 付表6. 予察表の記載内容
- 付表7. 防除方法等に関する記載内容
- 資料1. 各都道府県の問い合わせ先一覧
- 資料2. アンケートの内容
- 資料3. 防止計画関係箇所抜粋